The Voices 2014, アメリカ・ドイツ 監督 マルジャン・サトラピ |
あらすじが難しいなあ!これにプラスして、ジェリーには秘密があって、飼っている犬と猫とおしゃべりすることが出来るのです。笑
飼っている犬や猫が喋るし、殺してしまった女性(首だけ)を冷蔵庫に住まわせ会話する…ってだけで変な話なんだけど、主人公のジェリーにとってはそちらのほうが"現実"なので、こちらとしてもそんなにひっかからないし、ユーモラスにすら見える。
でも、コメディ色が強いかというとそうでもないんだよね。常に不穏な感じ。
よく漫画なんかで、脳内の善の自分と悪の自分が出てきたりするけど、この映画では犬のボスコが善の自分、猫のMr.ウィスカーズが悪の自分、ってな感じで面白かった。彼らは自分自身でもあり、同時に客観的に自分を見つめる存在でもある。
首だけになったフィオナの言う、「友達を連れてきて!」ってセリフは、ジェリーの心の叫び(独りは寂しい、友達が欲しい)でもあるのかなと考えると、悲しくなる。劇中ではボスコとウィスカーズと一緒にテレビを見たり、彼らにフィオナと踊ったんだ!って一日の報告をしたり…そういうのを、本当は母親であったり、友人としたかったんだろうな、って思ったら、もう現実なんて見なくていいよ!って思っちゃう。
本当に、ジェリーにとっては現実の方が悪夢なんだ。独りぼっちで居る事は耐え難く、そんな生活に現れたフィオナは天使のように輝く存在だったに違いない。リサと朝まで一緒に居て、普通の恋人同士みたいになってたシーンを見て、もうこのままジェリーに幸せになって欲しい…と思ってしまった…フィオナには申し訳ないけど。
それぐらい、ジェリーに肩入れしちゃってた。
彼は「独りじゃない」ってずっと知りたかっただけなんだよなあ…
…とここまでだいぶ彼に感情移入してる感じなんだけど、よくよく考えるとフィオナに対してごめんね、ごめんねって言いながらお腹ぶっ刺しまくってるのとか最高にクレイジーだし、リサもアリソンもめちゃくちゃ可哀相なので正直同情の余地はないんだよね!笑
ライアン・レイノルズは、ジェリーそのもので、目の奥が笑ってない感じとか、純粋そうだけど奥にどす黒いものがある感じとかが完璧で、( この映画においてはいい意味で )気持ち悪かった笑
それに、最近見た「チェンジ・アップ」という映画では(映画自体は数年前の作品)全然真逆な感じのキャラクターを演じていて、それも上手くて、なんだかライアン・レイノルズの事を見直してしまったよ!ボスコとMr.ウィスカーズのセリフも、各々訛りがあるから、別々の人が声をあててたのかと思ってたら、どっちもライアン・レイノルズがあててたって知ってびっくりした。本当、すごい!
死体解体シーンに関しては、直接的な描写はないけれど音が生々しいのと、どんどん積み上げられていく不気味なタッパーだけでも充分怖かったな。
そしてエンディング、最高でした。もうああいうの出されるとズルいなーと思う。
ネタバレしたくないのでググっちゃダメだよ!(あと出来れば予告編も観ないでほしい…!)
涙を流す彼の悲しみも、素敵な朝を迎えたときの喜びも、辛い現実から目を背けたい気持ちも、全部わかるから、ラストがとても切ない。皆誰かに愛されたいだけ。でも、終わりよければ全てよし。ジェリーがハッピーなら私もハッピー!Sing a happy song!
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