2014/10/25

ニンフォマニアック vol.1

NYMP()MANIAC
2013, デンマーク,ドイツ,フランス,ベルギー,イギリス
監督 ラース・フォン・トリアー
おはなし:独り身の老人セリグマンは、ある雪の日、道端に倒れている傷だらけの女性を見つけます。 すぐに救急車を呼ぼうとするも、それを断る女性。放っておけない彼は、彼女を家に招き入れる。彼女の名前はジョー。自らを色情狂と言い、なぜ傷だらけで倒れていたのか、その理由を語り出します…

※そこそこネタバレしてます

多くの方が言っている通り、これはvol.1でしかないので評価をするのは難しいんだけれど、まぁでも2本に分かれて公開されているわけだし、とりあえずvol.1はとても面白かったです。

トリアー監督の作品は正直メランコリアしか見ていないのだけれども、トラウマ映画として名高いダンサー・イン・ザ・ダークを撮っていることは知っているし、他の映画もなんだか見るのにすごく勇気がいりそう、って事は知っていて。だからこそメランコリアしか見たことないんだけど。
そんなわけで今回も、どちらかと言えばものすごくゲンナリする覚悟でいたのですが。

笑えました。びっくりした。まさかトリアー監督作品でこんなに笑うとは思わなかったです。正直私はもうあの3+5の時点でかなり面白かった。あそこを笑うのが正解かどうかは知らないけれど。Mrs.Hのクソ真面目すぎて変な方向に面白くなっちゃってるのとかも最高でした。


お話自体は基本ジョーが自分の人生をセリグマンに語る形なんですけど、ジョーがいわゆる「構ってちゃん」な感じで、「もう私って本当に悪い子なの、どれぐらい悪い子かっていうともうこんなに悪いのよ…」って語るのに対して、「いや君が思うほどそれって悪いことじゃないし、むしろ普通だと思うけどね」って往なすセリグマンの、その2人の会話もなんだかおもしろいので飽きずにずっとひきこまれっぱなし。お互い一応関連のあることを話しているんだけど、基本的には自分の喋りたいことを話してる感じとか可笑しくって。

ジョーの初体験に関してはもう私あんなん絶対ヤだわぁ…って感じ…あんな事務的な…。
きっと彼女は期待していたと思うんですよ。どんなもんだろうと。ふたを開けてみたらアレですよ。そりゃ色情狂にもなるわと。(まあそれが原因なワケじゃないんですけど笑)
そしてそれに対してフィボナッチ数列だ!とか言っちゃうセリグマンが本当おかしくてですね。
自分の趣味とかの話に強引に持ってく感じがいいですね。あと私もセリグマンに拾われた上に薀蓄披露されまくりたいです。とりあえず道端で倒れとけばいいですかね?


wikipediaにはトリアーの鬱三部作の最終作って書いてあるんですけど、そんなに鬱々とした感じはなかったような。私が身構えすぎていたのかもしれないけれど。
それでもやっぱり「せん妄」の章は少し切なかったかな。ジョーが父との思い出を本当に大切そうに語るので、それだけに最後が辛くって。画面が白黒なのでそれがより一層色濃く感じられて。
クリスチャン・スレイター演じるお父さんは本当に優しそうで、病室での弱々しい姿に胸が締め付けられました…。目の前にいるのは確かに自分の父親なんだけど、別人のように変わってしまった悲しさ故に自暴自棄になってしまう気持ちは分からなくもないかな。そして最終的に、その苦しみから解放された安堵から、ってのもなくはないんじゃないかなと。



映画の中でセリグマンが指摘していた通り、ジェロームとのエピソードだけ現実的ではないです。というかかなり少女漫画っぽい、というか。ロマンチック(初体験除く)。
二度目の再会のシーンなんて一瞬、私の大好きなロミオとジュリエットのバルコニーのシーンみたいだったりもして、かなりテンションがあがりました笑

一度目の再会の、「俺だよおれ、君の初恋の相手」みたいな感じで言ってくるところは、いまでもお前のこと好きとか勘違いしてんじゃねえよ!!とちょっと苛立ちつつも笑っちゃいました。まあでも悔しいかな、他の男たちがその他大勢なのに対し、ジェロームだけはやっぱり特別ですよね。

彼との間でなら、友人の言っていた"The secret ingredient to sex is love"が理解できるのかも、とこちらも期待したところで突然ジョーが"I can't feel anything..."とか言い出すのでもうvol.2が気になって仕方がない!!何故ジョーが傷だらけで道に倒れていたのか、その理由も明かされていないですし、あと私ジェイミー・ベルが好きなのでね。


OPも最高でした。予告編見た時もインパクトあったけど、本編でも物凄い存在感で。
若いジョーを演じていたステイシー・マーティンちゃんも最高だったんですけど、彼女について語っていたらどんどん長くなってしまいそうなのでやめておきます笑


CINRA.net: 能町みね子が『ニンフォマニアック』に見る恋愛に屈しない生き方
http://www.cinra.net/interview/201410-nymphomaniac

あとこの能町さんのインタビュー、ネタバレ有ですが凄く良かったので、こちらも是非。

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